だいぶ前から夫婦の間で離婚の話は出ている。
離婚の話になると揉めてしまい、家庭の雰囲気は良くない。
未成年の子にもストレスを与えている。
配偶者からは、離婚より前に家を出るよう暗に求められている。
子に悪影響があってはいけないし、自分もこのまま同居を続けるのはストレスだ。
離婚協議をスムーズに進めるためにも、自分1人が家を出たほうが良いとも思う。
家を出て大丈夫か。
上記のような相談を受けることがあります。
答えは1つ、「家を出ないでください」です。
家の所有者だったり賃借人だったりする場合は「絶対に」です。
理由は、家を明渡してしまったらまず家には戻れないからです。
家を失った状態が離婚協議の出発点になります。
自分が家にいなくても、住宅ローンや家賃は当然発生し続けます。
別居すると婚姻費用も請求されることが多いです。
さらに、自分の住む所も確保しなければならず、新たに家賃も発生します。
この三重の経済的負担は非常に厳しいです。
負担の重さに耐えかね、早期に離婚を成立させて負担を免れようとしても、そう上手くはいきません。
相手にしてみれば、自分の住環境は変わらず、不仲な配偶者だけ目の前からいなくなった状況です。
言葉は悪いですが、「追い出し」に成功したわけです。
相手に住居費を負担させつつ、じっくり検討すれば良い。
もはや離婚を急ぐ理由がありません。
では、せめて相手も家から出てもらい、家自体を処分してしまおうとしても、これも上手くいきません。
家の所有者が誰であれ、現に住んでいる人を追い出すのは非常に困難です。
家に関する経済的負担だけが延々と続くことになります。
離婚成立まで思い経済的負担を負った側と、住居費すら負担しないで良い相手方。
そこまでパワーバランスの崩れた二者間で、対等な協議など期待できません。
離婚協議でも、不利な条件を呑まざるを得なくなる恐れもあります。
家は城です。
自ら城を明け渡しては、戦には勝てません。
シンプルに言えばそういうことです。
もちろん、同居を続けることにはストレスが伴います。
子に負担をかけてもいるでしょう。
それでも、自分から家を出てしまうことのリスクとは比較はできません。
やはり、家を出てはいけません。